平成18年市議会報告 議会録
■質問者 きくち伸英
私は、自由民主党議員団を代表して、平成18年度当初予算案等について質問をいたしますので、市長を初め関係理事者の明快なる御答弁をお願いいたします。
我が国の経済は、1991年に起きたバブル経済の崩壊後、幾多の施策が講じられたにもかかわらず、出口の見えない長く暗いトンネルを歩むがごとく、低調な時期を経験してまいりましたが、内閣府が2月に発表した国内総生産の速報値によりますと、内需における消費部門や名目雇用者報酬などに所得増加の傾向が見られるほか、下降ぎみであった輸出関連や生産部門においても持ち直しの兆候があらわれ、4期連続のプラス成長という好循環が見えてきております。これらの現象が一種の起爆剤となり、企業部門から家計部門へと好調さが波及し、一歩ずつ足元を確かめながら、明るい方向を目指し歩んでいけるよう願っております。しかし、視点を変えてみれば、我が国の経済状況が回復に向かっていると言われながら、私の実感として松山市においては、非製造業が中心となっているため、東予地方における製造業の景気回復がいまだ十分に波及されておらず、松山圏の経済的な浮上に欠かせない南予の情勢においても、さらに回復軌道から取り残される危険性が大きいのではないかと考えております。また、年代層で分析すると、ニート問題などで話題となっている若者の所得には景気回復の影響が反映されているとは言いにくく、さらにそのような状況が高齢者の生活を直撃し、結果として生活保護対象者の増加にもつながっているものではないかと思うのであります。市長は昨年12月議会の閉会に当たり、市政においてこうした景気回復から取り残された部分への配慮を強調されておりましたが、私自身もその考えには同調をいたします。ただ、こうした格差が国の財政構造改革の最終的な帰結であるかどうかについてはいろいろな御意見もあり、骨太の方針に沿った改革を完遂することにより、21世紀ビジョンで描く、明るい未来に向かうという考え方もある中、我々としては厳しい地方の状況を踏まえ、どこまでの痛みに耐え、どこまで改革を実行していけるのか、妥当な着地点についての議論を尽くさなければならないと考えている次第であります。思えば、地方にできることは地方にという方針のもと、税源移譲、補助金の削減、地方交付税の見直しを柱とする三位一体の改革を初め、市町村においては平成の大合併に終始する中で、政府は新年度において定率減税の廃止を行うほか、新規国債の発行額を30兆円以下とするなど、歳入、歳出を一体とした厳しい財政構造改革を進めようとしております。その結果として、17年度末における地方財政の借入金残額は204兆円という想像を絶する金額にも及んでおり、今後の展開が読めないほどの危機に立たされていると思うのであります。中村市長においては、とりわけ厳しい環境の中における予算編成であったと拝察いたしますが、このようなときこそその手腕に期待を抱きつつ、私の代表質問に入りたいと思います。
まず質問の第1点は、平成18年度当初予算編成に当たっての基本方針についてであります。ますます厳しくなる財政状況の中では、財政の健全性を維持していくことは必要であると認識しておりますが、ようやく長い低迷の時期から脱する機運が感じられようとしている中、限られた財源の中であっても、本市経済の活性化に向け努力していただきたいと考えております。また、次年度を担う児童・生徒を痛ましい事件から未然に防ぐための安全対策を初め、観光客の減少に歯どめをかけることを踏まえた交流人口の拡大策、また合併により新たに加わった北条、中島地域への対応など、本市が抱える課題は山積していると考えられます。そこで、平成18年度当初予算編成に当たり、どのような基本姿勢で臨まれたのか、まずお示しいただきたいと思います。次に、当初予算案を見ますと、一般会計で1,433億9,000万円と前年度と比較して22億円、率にして1.51%の減となっておりますが、歳出を款別に見ると、対前年度比で民生費が15億2,000万円、衛生費が3億3,000万円の伸びを示す反面、土木費がマイナス16億5,000万円、総務費がマイナス5億4,000万円、消防費がマイナス3億円など、大きく減少しております。そこで、歳出面においてはどのようなところに重点を置き、どういった点に特色を持たせたのか、お伺いをいたします。また、先ほども申し上げましたが、現在国では三位一体の行財政改革が進められており、その影響で地方の財源は大幅に削減されております。そうした中、今後地方自治体が独自の事業を進めていく上で財源確保をいかに行っていくかは重要な課題となってきております。しかし、財政運営の指標となる地方財政計画に目を向けますと、地方税収見込み額に対しては、前年度当初見込み額に対し、市町村税が2.2%の増、また地方公共団体に配分される地方交付税及び臨時財政対策債の総額は、前年度に比べ1兆3,000万円、率にして6.5%の減となっており、この3年間では総額5兆1,000億円もの大幅な削減となっております。そこで、第3点目は、こうした状況の中で主たる財源である市税収入の見通しについてお示しいただくとともに、地方自治体の一般財源として主要な位置を占める地方交付税についても、どのように見込まれているのか。さらには、歳入の財源不足を補てんするための臨時財政対策債に関する見込みについても、あわせてお答えください。第4点は、財政運営についてであります。市長は平成11年10月に、セーフティーネットとして健全な財政運営へのガイドラインを策定し、財政の健全運営について、これまで早目早目の対応をしてこられておりますが、国が進めております三位一体の改革に伴い、財源の大幅な不足が見込まれる中、愛媛県においては危機を回避するため、財政構造改革に向けて超緊縮型の予算を編成したところであります。私も、松山市の財政状況を今後どのように推移していくのか、心配しているところであります。そこで、健全な財政運営へのガイドラインに係る各財政指標について、平成17年度の見込みと今回の予算編成の中における平成18年度の見通しについて御所見をお伺いいたします。
次に、節水型都市づくりについてお伺いいたします。本市の最重要課題である新規水源の確保につきましては、人口のピークである平成27年度における最大不足水量、日量4万8,000立方メートルについて、その確保策として19にも及ぶ方策について、多面的な考察を加えた結果、愛媛県営西条地区工業用水の一部転用方式を最優先に取り組むとの方向性が示されました。加えて、昨年12月の定例議会において、新規水源の確保に関する決議を採択し、西条地区工業用水の一部転用の実現を図るよう市長に強く求めるとともに、議会としても本市の水問題を抜本的に解決すべく、その実現に向け、一体となって積極的に取り組むことを表明したところであります。この決議を実践する意味から、まずは不足水量とされる4万8,000立方メートルの妥当性や必要性、また本市の水事情についての正しい知識と情報を市民の皆様にお伝えした上で、これまでもそうでしたように、今後とも節水や有効利用、あるいは保全といった本市が独自に取り組める自助努力というものについて、市民の皆様の御理解と参加を促していくことが、結果的には水問題の早期解決につながっていくものと認識しております。そこで、平成18年度当初予算のうち、節水型都市づくり推進費に関して、以下数点お尋ねをいたします。第1点目は、大規模建築物の節水対策に関する条例の施行状況についてであります。この事業については、平成18年度分の事業費として2,100万円余りが予定され、本年度の当初予算に比べ約1,800万円余りの伸びとなっております。この大幅な伸びの要因は、10立方メートルを超える雨水タンクを設置した建築主に対する補助金であることから、節水型機器の設置とともに、条例の柱の一つである雨水タンクの設置について、建築主の方々に積極的な取り組みをいただき、節水や有効利用が一層推進していくことが予算面からもうかがえるところであります。担当部局によりますと、2月末の時点では、49件の節水計画書を確認し、そのうち6割強に当たる30件で雨水タンク設備が設置され、残りの19件は雨水浸透桝などの浸透設備が設置される予定と伺っており、件数の上からは制度が円滑に運営されているものではないかと考えますが、これまでに提出された節水計画書について、条例に定めた内容に沿っていないなど、特段の指導等を行った事例があるかどうか、お伺いをいたします。また、建築主から条例で定めている基準が厳しいといった意見が寄せられているか。逆に、条例で定める基準を上回る取り組みや貯留した雨水をトイレの洗浄水として利用するといった事例があったのかどうか、あわせてお答えください。次に、建築物が完成した後の完了検査並びに立入検査についてであります。条例の対象となる建築物は、床面積の合計が1,000平方メートル以上であり、こうした大きな建築物の竣工までには相応な期間を要します。条例の施行が昨年4月1日であり、施行日の以後に建築確認申請を行う建設物を対象としておりますことから、条例第6条による完了検査をした物件は、2月まで時点で4件と伺っております。そこで、これまでの完了検査につきましても、節水計画の確認と同様、例えば具体的なふぐあい等があって手直しを指示した事例があったのかについてお伺いをいたします。また、第8条には、完了検査を実施した物件について、その後の維持管理状況等を確認するため、立入検査をすることができると規定しております。そこで、大規模建築物の節水対策に関する条例の対象となった建築物についても、念のため立入検査を実施してはどうかと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。第2点目は、新規水源開発及び長期的水需給計画の実施計画についてであります。新規水源開発についてはさきの決議も踏まえ、議長及び市長が県及び西条市に要望活動を行ったところであり、本市の今次当初予算においては、新規水源開発にかかわる本格的な予算が計上されていないことは十分に理解ができますが、その準備事業として66万円が計上されておりますので、まずこの準備事業の内容についてお伺いをいたします。本市におきましては、例えば市有施設の節水対策など、既に積極的な対応を講じている施策もございますが、新規水源については先ほど申し上げましたような状況にあり、またこの水問題の解決については、長期的な視野に立った慎重な取り組みが必要なことから、実施計画の策定は新規水源開発の見通しが立った時点でも十分だと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。節水型都市づくりの最後は、新たな水源かん養林事業についてであります。本市の上水道の主な水源は石手川ダムと重信川の地下水の2つであり、この貴重な水源の一つである石手川ダムを守るため、公営企業局では平成5年度から水源涵養林整備事業に取り組んでまいりました。その結果、平成16年度末までに約130ヘクタールの林地を取得し、約12万本の広葉樹を植栽するなど、保水型森林の育成を進めてきたところであります。今回水資源の保全策として、従来の水源涵養林の整備事業にかわり、新たな水源かん養林事業が予算計上されておりますが、従来の事業との比較や新たな取り組みにおけるメリット等も含め、この事業の内容についてお伺いいたします。
次に、組織改正についてお伺いいたします。平成16年12月に閣議決定されました今後の行政改革の方針を踏まえ、昨年3月に総務省が地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針を発表をいたしました。その内容を見てみますと、第1に、計画的な行政改革の推進と説明責任の確保という点については、行政組織全般に関して計画策定から実施、検証、見直しという一連のサイクルのもとに継続的点検を行いつつ、行政改革大綱の見直しを行うことと報告をされております。さらに、行政改革推進上の主要事項については、地方公共団体の組織は従来の縦割り型組織にとらわれず、政策の目標ごとに効率的に事務処理のできる組織とする必要があると報告をされております。本市の機構改革においては、既に平成14年度から16年度までの組織整備3カ年計画を策定し、時代の変化に即応できる、柔軟で機動力のある行政組織の構築を目指して取り組んでおられるところでありますが、この新たな指針に対応し、今年度中に事務事業の廃止、統合、民間委託等の推進、定員管理の適正化などについて、17年度を起点として21年度末までの具体的な行革への取り組みを集中的に実施する集中改革プランを作成し、公表することが国から要請されていると聞いており、今後もより一層積極的な行政改革を推進することが求められると思われます。そこで、質問の第1点目は、議案第31号松山市事務分掌条例の一部改正に係る工事検査の事務を理財部から総務部に移管することについてであります。地方自治体の財政難から、公共施設を整備するための財源確保が大変難しくなっておりますが、市民生活に不可欠な社会基盤の整備は自治体にとって重要な責務であり、今後においても優先順位をつけつつ、継続的に進めていく必要があります。一方、そうした社会資本整備を進める上で、公共工事に係る契約事務の透明性、公平性、競争性を高めることは重要であり、本市ではこれまでに電子入札の導入や入札制度の改善などにより、その向上に努めてこられました。今後とも、公共工事の品質確保、水準の高い技術やさまざまな手段によるコスト縮減を図り、より安価で良質な社会資本の整備を進めることが要請される時代であることと認識しております。このような中、今回工事検査に関する事務を理財部から総務部に移管する目的とその効果について御所見をお伺いいたします。質問の第2点目は、坂の上の雲まちづくりの推進体制及びその他の組織改正についてであります。第5次松山市総合計画の基本理念として、「『坂の上の雲』を目指して」を掲げ、現在フィールドミュージアム構想に基づき、ロープウエー駅舎のオープンやロープウエー街の整備等が進められております。そして、いよいよ平成19年春には、フィールドミュージアムの情報を発信する交流機能を持った施設として、仮称坂の上の雲記念館がオープンする予定であります。さらに、小説「坂の上の雲」がNHKスペシャル大河ドラマとして放映される予定であり、本市にとっては全国から注目されるとともに、観光客の増加なども期待されることから、今後の施設の整備や放映等を見据えた組織体制の構築も必要であると考えます。現在、産業経済部において坂の上の雲のまちづくりを推進しておりますが、今後センターゾーン、サブセンターゾーン等、回遊動線の整備及びネットワーク化、さらにまちづくりの本題である市民参加をどう実現させるなど、課題は多岐にわたり、行政全般にかかわる事項も多く発生し、全庁的あるいは総合的に取り組まなければならないと思われます。そこで、18年度に向けての坂の上の雲まちづくりの推進体制とあわせてその他の組織改正について御所見をお伺いいたします。
次に、松山市の観光振興と小説「坊っちゃん」発表100年記念事業についてお尋ねいたします。観光産業の担う役割は大きく、内需拡大、消費拡大、地域の活性化等、景気回復の大きな波及効果をもたらすツールとしても期待が寄せられているものであります。しかしながら、松山市の観光客の入り込み数を見てみますと、平成11年のしまなみ海道の開通時には602万人の誘客があったものが、平成14年には502万人、平成15年は500万人、平成16年には490万人と、年々若干の減少を続けてきております。それに伴い、道後温泉の宿泊者、入浴者、松山城などの観光施設を訪れる方々も、残念ながら減少している状況にあります。この観光客の減少傾向は松山市に限ったものではなく、全国的な傾向となってきておりますが、観光産業は地域経済に与える影響が大きいだけに、各観光地域の間でも危機感を持ち、その誘客競争は年々激化しているところであります。このように、近年の観光産業を取り巻く情勢は大きく変化してきており、従来型の単なる観光スポットを紹介するというだけでは、今の観光客の多様なニーズにこたえ切れなくなってきております。現状を見てみますと、数字が示すとおり、結果的に観光客は減少してきており、既存の観光施設に頼り過ぎたという影響が出てきたと言えるのではないでしょうか。このような状況の中、これからの観光産業の振興に備えていかれることと思いますが、そのとき、その時代に合った展開が必要と思われますが、まずしっかりとした基本スタンスに立ち、将来を的確に展望したビジョンを描かなければならないと、私は強く考えるのであります。時あたかも高知におきましては、NHK大河ドラマ「功名が辻」で話題を呼び、また徳島では、「バルトの楽園」の映画のオープンセットが公開されるなど、これまでとは違った文化の面において注目が集まっていると聞き及んでおります。折しも、松山におきましても好材料がメジロ押しであります。本年は小説「坊っちゃん」が発表100年を迎えることを初め、来春の仮称坂の上の雲記念館の開館やその後のNHK21世紀スペシャル大河の放映、また伊丹十三記念館の建設計画なども予定されており、これまでとは角度の違った観光の切り口をもって新たな誘客を図っていけるのではないかと、大きく期待をするところであります。特に、小説「坊っちゃん」が書かれて漱石の名称が高まるにつれ、松山は坊っちゃんの町としても全国に知られるようになり、道後温泉は小説を読んだ人は必ずと言っていいほど訪れる有名な温泉となったわけであり、この100年を契機に、市民と民間企業と行政の3者が一体となり、記念事業を展開していかれることが必要ではないかと思われます。理事者におかれましても、厳しい財政事情の中、今議会に所要の予算を計上しておりますが、以下数点についてお伺いをいたします。まず第1点は、こうした現状を踏まえ、今後松山市の観光政策をどう展開していくお考えか、お伺いをいたします。第2点は、小説「坊っちゃん」が発表100年を迎えるに当たり、この記念事業を観光、文化、教育の面から、具体的にどのように展開し、またどのように発信していくのか、お示しください。第3点は、記念事業を効果的に展開していくためには、民間との連携が必要と考えますが、これについてお示しください。
次に、教育問題についてお尋ねいたします。まず初めは、子どもの安全対策についてお伺いします。近年、子どもたちを取り巻く社会環境は刻々と変化し、子どもたちをどう見守り、育てていくのかが全国共通の重要かつ緊急の課題となる中で、去年広島や栃木県において、学校帰りの小学1年生の女子児童が殺害される、まことに痛ましい事件が発生し、国民を震撼させました。この子どもの安全問題は看過できない状況にあるのは申し上げるまでもなく、この松山においても不審者による声かけ事案などの情報が後を絶ちません。こうした状況を受け、本市では、ことし1月、PTAや公民館、警察や防犯等の関係者により、松山子ども安心安全対策協議会が組織され、子どもを見守る活動に市民が一丸となって取り組むとともに、市においても子どもの安全対策に総合的に取り組むため、中村市長をトップとする松山市子ども安全対策会議の設置を初め、公用車にステッカーを張り、公務の傍ら子どもたちに目を配る活動を展開するなど、行政が率先垂範する姿勢は評価をするものであります。こうした市民や自治体の活動が全国的に活発化する中で、国は不審者等に関する情報の共有化など児童・生徒の登下校時の安全対策を一層講じるよう、全国の自治体や教育機関に通知し、注意喚起を促したようですが、最前線である学校現場においては、例えば不審者情報の共有化の必要性を痛感しながらも、プリントや電話連絡網による周知対応で手いっぱいの状況にあると聞き及んでおります。しかし、広島県や山口県のある学校では、企業と連携するNPO法人と協力し、携帯電話メールを使った不審者情報を無料で配信するなど、もはや行政だけ、学校だけではなく、市民や企業の力をかりた対策が生まれてきております。今回、子ども安心・安全対策事業として、10万人の登録者に情報発信できる子ども安全情報配信システムの導入を目指す松山市小・中学校PTA連合会の補助を初め、市民による防犯ボランティア活動等への助成、さらには通学路への防犯灯設置への支援など、子どもの安全問題に対応する提案がなされており、私も、子どもを持つ保護者の一人として大いに期待をしているところであります。そこで、以下子ども安心・安全対策事業並び通学路防犯灯設置補助事業についてお伺いをいたします。まず第1点は、情報配信システムに関連し、保護者の携帯電話の保有状況等についてであります。内閣府の調査によりますと、子育て世代の携帯電話の所持率は非常に高く、おおむね一家に1台は所有しているとされておりますが、本市におけるPTAの携帯電話の保有状況と、そのうち何人くらいが情報発信を希望しているのか、お伺いをいたします。第2点は、不審者情報がどのような流れで保護者に届くのか、その概要についてお伺いいたします。第3点は、防犯ボランティア活動等への助成の目的や内容について、また第4点目として、通学路防犯灯設置補助事業の補助対象など、概要についてお答えください。次に、人事権移譲についてお伺いをいたします。義務教育は国、県、市、それぞれが役割を分担し、責任を負っておりますが、実質的には市に小・中学校の設置義務が課せられていることから、既に松山市の教育委員は市が直接の実施主体として大きな責任を負っております。したがって、松山の子どもたちを責任を持って育てるという自覚を持って教育行政に当たるためには、さまざまな権限が市に移譲されることが必要なのではないでしょうか。現在、県費負担教職員制度がとられていますが、この制度は小・中学校の教職員は市の職員としての自覚を持ちにくいなどの課題が指摘されています。また、中核市については既に研修事務が移譲されていますが、異動の権限を持たないことから、研修の成果を教職員人事に反映できないとの指摘もございます。中核市への人事権移譲については、市長におかれましても新しい流れ、制度というものに向かって新しい体制づくりを今からしておかなければ間に合わないとの考えを示しておりますが、まず人事権移譲について教育長はどのように考えておられるのか、御意見をお聞かせください。また、人事権移譲に備えた今後の取り組みをどのように考えているのか、お聞かせください。次に、小・中連携による国際・職業教育特区についてお尋ねいたします。国では、構造改革特区制度を推進することによって、地域の自立性を最大限尊重する形で規制緩和を進め、日本全体の経済及び地域経済の活性化を目指しております。教育分野におきましては、学習指導要綱の教育課題の基準によらない特例やIT等活用による学習機会の拡大の特例などを活用して、豊かな感性や広い視野を持ち、地域に貢献する人材の育成や不登校等の教育課題の解決などを目指した取り組みが日本各地で行われているところであります。このような趣旨のもと、本市においては平成18年度から、番町、八坂、東雲小学校の5、6年生、東中学校の2年生において、小・中連携による国際・職業教育特区が実施されていることを聞き及んでおります。現在、日本は国際文化の進展により、経済や社会、文化及び教育等の分野において外国との交流がふえており、コミュニケーションの手段として世界で公用語として使用されている英語の役割は重要になってきております。一方、社会では、中学校や高等学校の卒業後、目的意識を持たずに進学及び就職することにより、学校や職場において自己の存在感を見出すことができないニート、フリーターの増加や早期辞職などの問題点も重要な課題となってきております。そのような現状を踏まえた上、本市の小・中連携による国際・職業教育特区は、今後の教育のあり方において大変意義深いものであり、子どもが将来の生き方を見詰め、社会に貢献できる人材を育成するためによい機会を提供できるのではないかと考えます。そこで、来年度から実施の小・中連携による国際・職業の教育特区についてお尋ねをいたします。第1点目は、来年度実施に向けて、現在どのような準備をしているのか、お答えをください。第2点目は、教育特区の具体的な学習内容や学習方法等はどのようになるのか、お答えください。第3点目は、教育特区を通しての成果は、どのようなことが期待ができるのか、お聞かせください。
最後に、水道事業におけるDBO(※設計・建設・維持管理を一括して発注する方式)導入についてお伺いをいたします。水道事業など地方公営企業の改革の流れを見てみますと、平成13年6月に内閣府の経済財政諮問会議から出された骨太の方針の中で、水道など地方公営企業への民間的経営手法の導入を促進すべきであるとされたことを皮切りに、平成14年4月には、総合規制改革会議からも、地方公営企業の民間委託や民営化を推進すべきであるとの認識が示されるなど、民間活力導入による活性化ということがクローズアップされてまいりました。一方、本市の水道事業に目を転じてみますと、節水型都市づくりを推進するということと、節水の浸透による料金収入の減少というジレンマの中、これを解決する唯一の方策は、一層のコスト削減以外にないとの認識のもと、民間活力導入による活性化という時代の流れをうまく取り入れることで、企業局始まって以来の抜本的な改革とも言える経営基盤改革を平成15年度からスタートさせたことは、まことに時宜を得たものであると思っております。経営基盤改革の第1弾は、水道サービス提供のために、現に実施している業務のやり方を抜本的に見直し、組織の再編と既存業務をアウトソーシングすることで人員の適正化とコストの削減を図ることを目的としたアクションプランでありましたが、その成果が出てきていると聞いております。さらに、アクションプランに続く経営基盤改革の第2弾の取り組みに注目していたところ、早々にDBOという民間的経営手法を導入し、いよいよ新年度からDBO方式による膜ろ過施設の建設に着手する運びとなることなど、企業局の経営改革のスピードと取り組み姿勢に対し、敬意を表する次第であります。そこで、DBO導入について、以下数点お伺いをいたします。まず質問の第1点目は、DBOの導入による財政支出の価値、つまりバリュー・フォー・マネーについてであります。膜ろ過施設整備等の事業のバリュー・フォー・マネーは、この事業に係る債務負担行為を設定する平成17年度当初予算編成の審議の中で15%程度を見込んでいるとの答弁がなされておりましたが、先般の事業契約の段階では、42%と期待を大きく上回る結果となったとのことでありますが、企業局としてこの要因をどのように分析されているのか。また、この結果をどのように評価しているのか、お伺いをいたします。次に、質問の第2点目は、今回の事業をDBO方式で進める上での安全性についてであります。水道水を製造する浄水処理という水道の根幹にかかわる業務は、何よりもその安全性が担保されることが不可欠であり、コスト削減のために安全・安心ということがおろそかになってはならないというのは言うまでもないことであり、私自身、民間事業者に全面的に任せることに対しましては、一抹の不安もあります。そこで、浄水処理という業務を民間事業者に任せる上での安全性をどのように確保していくのか、お伺いをいたします。
次に、質問の第3点目は、DBO方式による膜ろ過施設整備等事業の推進体制についてであります。クリプトスポリジウム対策として実施するこの事業は、建設期間に2年を要し、その後12年間という長期にわたる維持管理業務を民間事業者にゆだねるわけでありますから、しっかりとした枠組みが構築されているものと思われます。民間事業者側の実施体制、その業務履行に対する企業局側の監視体制、民間事業者に適正に業務を履行させるための担保など、具体的にどのようになっているのか、お伺いをいたします。次に、質問の第4点目は、地域経済活性化への配慮についてであります。長引く不況や地方財政が悪化する中、膜ろ過施設整備等事業のような初期投資の大きな事業は、地域経済の活性化に寄与してくるものではないかと期待する向きもあると思いますが、この事業の落札事業者栗田工業グループの構成メンバーには、地元企業は入っていないようであります。こうした状況の中でこの事業を実施するに当たり、地域経済活性化への配慮はどのように考えているのか、お伺いをいたします。次に、質問の第5点目は、膜ろ過施設の耐久性の確保と環境への配慮についてであります。南海地震への備えを出すまでもなく、水道の基幹施設の耐久性はしっかりと確保されなくてはならないと思いますし、また地球温暖化の観点から、公共施設の建設については、環境への十分な配慮がなされるべきであると考えますが、この点どのような計画となっているのか、お伺いをいたします。
以上で、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
■答弁者 中村時広市長
菊池議員に、私の方からは平成18年度予算編成についてお答えをさせていただきます。
まず、予算編成に対する基本姿勢と重点項目及び特色につきましては関連がございますので、一括してお答えをさせていただきます。御案内のとおり、我が国の経済状況は緩やかな景気回復基調がうかがえるというものの、地方においてはそれを実感するまでには至っていません。このような状況の中、本市におきましても、国が進める三位一体の改革により深刻な財源不足にあることは否めず、厳しい財政運営を迫られているのが現状でございます。そこで、平成18年度に向けた予算編成に際しましては、市税改革プログラムや新年度から新たに開始する愛媛地方税滞納整理機構での共同処理における徴収率向上に向けた取り組みはもとより、市のホームページや広報まつやまに広告を掲載するなど、広告料収入等新たな財源確保にも努めるほか、歳出面におきましても、事務事業評価をさらに徹底し、補助金や委託料についても全般的に見直しを行ったほか、職員給与の見直しに加え、特別職等の給料のカットを引き続き実施するとともに、管理職手当のカットを課長職にまで広げるなど、人件費も聖域とすることなく一層の抑制を図ることにより、持続可能な財政運営が行える予算を目指して編成をいたしました。このような厳しい状況下においても、本市が目指す総合計画に沿った重点的な取り組みを中心に事業を精選することとし、平成19年春の開館を予定している仮称坂の上の雲記念館については、平成18年度に施設本体の完成段階の工事を進めるとともに、道後温泉周辺景観整備を初めとする坂の上の雲フィールドミュージアムの整備を推進することとしております。なお、有効な財源活用として、坂の上の雲関連事業については、すべて事業費の40%にまちづくり交付金を充当し、実施することといたしております。また、小説「坊っちゃん」100年記念事業を初め、エリアが拡大した農林水産部門や観光振興などを初めとする経済の活性化に向けたソフト事業にも配慮して編成いたしております。さらに、子どもたちが安心して通学できるよう、登下校時の安全性をこれまで以上に向上させる諸施策を初め、新規水源開発に向けた対応のほか、大規模災害や特殊災害時に活動するスーパーレスキュー隊の新設や救急体制の充実を図る事業、また都市化の進行に伴う浸水対策などにも意を尽くし、緊縮予算の中においても市民の安全・安心には重きを置き、特段の配慮をいたしております。
次に、主要な財源の見込みについてでございますが、平成17年度及び18年度については、国において地方の財政運営に必要な一般財源の総額が確保されたこととなっておりますが、個別に見てみますと、まず市税につきましては固定資産税が評価がえに伴い減収となる見込みに対し、個人市民税が定率減税の縮減等の税制改正に伴い増収となることや、法人市民税が企業所得の回復に伴い増収となることのほか、徴収強化対策により、全体としては平成18年度は今年度の見込み額615億円を若干上回るものと考えております。しかしながら、市税及び税源移譲による所得譲与税を含む地方譲与税が伸びることにより、地方交付税及び臨時財政対策債については、その財政調整機能により規模が抑制されることとなり、さらに地方財政計画の歳出総額抑制等も相まって、本市の歳入見込み額といたしましては、交付税は平成17年度より25億円程度少ない235億円、臨時財政対策債も40億円程度への減少を見込んでおります。このような一般財源の厳しい状況については、地方全体を通じての課題となってまいりますことから、今後も地方六団体を中心として、地方の自主・自立性を高めるとともに、持続可能な財政運営を可能とする財源措置となるよう議論を深め、国に対して三位一体の改革の第二段階とあわせて強く主張し、要望していかなければならないものと考えております。
次に、健全な財政運営へのガイドラインに係る各財政指標についてでありますが、平成17年度決算における見込みにつきましては、一般財源の伸びが見込めない中で、市の努力のみでは抑制が困難な扶助費並びに介護及び国民健康保険会計への繰出金が依然として大幅に増加しておりますことから、経常収支比率はガイドライン80%以内に対し、85%前後まで増加するものと考えております。また、起債制限比率は12%未満の指標に対し、8%程度、公債費比率にあっては16%未満の指標に対し、15%程度を見込んでおります。平成18年度の見通しについては、当初予算において公債費の伸びをマイナス1.09%に抑えていることから、起債制限比率及び公債費比率につきましては、目標値をクリアできるものと考えております。しかし、経常収支比率につきましては、経常的経費の伸びを0.67%に抑えているものの、児童手当及び児童扶養手当の国庫負担率の削減、重度心身障害者医療や乳幼児医療助成事業等に対する一般財源充当額がふえる中、一般財源総額の伸びが制度的に見込めないことなどにより、さらに悪化するものと憂慮いたしております。このため、今後の改革の進展により、地方公共団体の歳入構造や事業に係る市の負担のあり方など、これらの指標の前提条件が大幅に変化することも予想されることから、これら制度の変更をにらみつつ、各地方自治体の財政状況について比較する基本指標と位置づけられた市町村財政比較分析表との整合も図り、各指標やその目標数値の見直しについても検討する必要があると考えています。しかしながら、こうした中でも、事業の取捨選択や重点化など、さまざまな行政改革の手法により、常に先手を打つ形で対応し、市民の皆さんにお約束した日本一のまちづくりビジョンの具現化を図りつつ、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えています。
その他の質問につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
■答弁者 木村俊介助役
菊池議員に、組織改正についてお答えいたします。
まず、第1点目の工事検査に関する事務を理財部から総務部に移管する目的とその効果についてでございますが、本市では平成16年度の組織改正により、企画立案、調整機能の充実強化を目指して、経営資源の管理配分機能のうち、人材に係る資源については総務部に、資金や財産に係る資源については理財部に集約いたしました。その上で透明性及び公平性を確保するため、契約に係る事務については総務部とし、工事検査に関する事務を理財部の所管としてまいりました。しかしながら、平成17年4月1日に公共工事の品質確保の促進に関する法律が施行され、現下の厳しい財政事情のもとで契約事務の遂行に当たり、技術を重視し、価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされるよう公共工事の品質を確保しつつ、徹底したコスト縮減に努めなければならないことや電子入札の活用等により、引き続き契約事務の透明性、公平性の向上を目指すため、技術評価と契約手続を一元的に管理する事務を新たに総務部の所管事務とするものであります。また、その効果につきましては、工事の計画から完了までの工程において、契約部門と技術管理部門の事務を同一の部において統一的に所管することにより、その責任体制が強化されるとともに、より迅速かつ適切な判断や事務の計画的で効率的な遂行が可能となります。
次に、坂の上の雲まちづくりの推進体制についてでございますが、これまで坂の上の雲のまちづくり推進事業は、中心市街地を初めとする地域経済の活性化や観光資源の発掘、育成との関連性が深く、また事業の迅速かつ確実な推進を図るためには、企業や経済団体等との日常的な連携も重要であることなどから、産業経済部に担当部長を置いて関係部局との連携体制を図りながら、事業全体を推進してまいりました。今後におきましては、国により認定された坂の上の雲まちづくり地域再生計画の推進が施策の重要な柱となることや、フィールドミュージアム構想の具現化に向け、センターゾーンとサブセンターゾーンを組み合わせた回遊型観光ルートを本格的に整備する必要があることから、これまで以上に部局の枠を超えて総合的に事業を推進していくことが不可欠となります。そこで、坂の上の雲のまちづくりに関する推進体制を産業経済部から総合政策部へ移管し、さまざまな行政課題に対応する中で、総合政策部が中心となって、各部局のより一層の連携を強めてまいりたいと考えております。次に、その他の組織改正についてでございますが、教職員の任免権等の移譲に向けての体制を強化するため、教育委員会事務局学校教育課内に教職員担当準備室を設置する予定であります。また、産業経済部内におきましては、平成16年度に市場の経営改革を計画的に進めるため、中央卸売市場中央市場、水産市場の経営改革を推進する方針を策定し、さらに平成17年度には、市場経営改革担当調整監を配置することにより、事務の統廃合や事務処理の合理化の改革を進めてまいりました。さらに、18年度に向けましては、中央市場課と水産市場課を統合して、市場管理課に変更することとし、両課の管理事務を集約し、さらなる経営の効率化を図りたいと考えております。
以上で、答弁を終わります。
■答弁者 白方久志水資源担当部長
菊池議員に、節水型都市づくりについてお答えいたします。
第1点目の大規模建築物の節水対策に関する条例の施行状況についてでありますが、まず節水計画の確認につきましては、現在まで条例に反する内容等、特段に指導、勧告を行った事例はなく、また建築主から基準が厳しいといったお声はございません。また、条例で定める基準を上回る取り組みの事例といたしましては、雨水タンクの設置に加え、敷地内に雨水浸透桝を設置し、地下水の涵養をしているものが2件、節水型便器と流水擬音装置を併設しているものが1件、また雨水をトイレ洗浄に利用しているものが6件ございます。このように順調に施行できておりますのは、節水型都市づくりに対する関係者の御理解が深まっていることによるものと認識しておりますが、今後とも積極的な取り組みがふえますよう、建築主や設計施工関係者への意識啓発に努めてまいりたいと考えております。次に、完了検査につきましては、節水計画の確認の場合と同じく、ふぐあい等の手直しを指示した事例はなく、これまで検査を完了したすべてについて、計画書どおりに施工されております。また、立入検査につきましては、議員御指摘のようにその必要があると判断し、1月末までに完了検査を終えていた2件について、念のため2月初旬に立入検査を行いました。これらは完成から数カ月しか経過していないものではありましたが、その後の改造はなく、完了検査時と同じ状態であることを確認しております。なお、この立入検査以降に完了検査を行いました2件につきましても、完了検査時に今後の適正な維持管理をお願いしたところでございます。
次に、第2点目の新規水源開発準備事業及び実施計画についてであります。新規水源方策につきましては、県営西条地区工業用水の一部転用を優先的に取り組むこととし、市長と議長が愛媛県及び西条市に対して実現に向けての御協力をお願いしたのは、御案内のとおりでございます。西条市におかれましては、早速庁内にプロジェクトチームを設置していただき、市民への広報や意見募集などを含め、分水に係る研究をされている状況であり、また本市といたしましても、できる限り多くの方々に本市の現状を理解していただくことがこの事業の実現に不可欠であると認識しておりますので、新規水源開発準備事業には、その資料作成等に係る事務的な経費を計上したものでございます。次に、実施計画の策定についてであります。実施計画は、基本計画の延長線上にあるものであり、節水や有効利用、保全、開発といったすべての施策を計画的に実施していくために策定するものでございますが、実施計画の中心となるのはやはり新規水源の開発策であり、現時点では明確な時期をお答えすることはかないませんが、方策実現のめどが立った時点で具体的にお示ししたいと考えております。
最後に、新たな水源かん養林事業についてであります。この事業は、これまで公営企業局が実施してきたものでありますが、林業政策の窓口との一元化により、水源の涵養機能に限らず、木材の生産や災害の防止といった森林の持つ多くの公益的機能を総合的に発揮させるものでございます。従来の事業との大きな相違点は、これまで実施しておりました用地の購入にかえ、今後は放置竹林に特化して土地を一定期間無償で借り受け、水源涵養機能の高い健全な森林として整備した後、所有者に返却するという点でございます。次に、メリットを含めた事業内容ですが、用地の購入から森林の整備に事業の軸足を移したことにより、整備対象面積を拡大することができ、平成18年度から20年度の3カ年で放置竹林24ヘクタールを整備することとしているほか、植栽する樹種についても森林所有者の意向も伺いながら、従来のクヌギ、コナラ等の広葉樹に限らず実施できることとしております。加えて、松くい虫被害のため減少している松林について、土砂崩壊防止機能を高めるような植林を実施することで、山地災害の防止だけでなく、石手川ダムの堆砂の減少を図るなど、今後ともダム上流域の水源の保全に向けて長期的視点に立った本市独自の施策を推進してまいりたいと考えております。
以上で、答弁を終わります。
■答弁者 白石義秀産業経済部長
菊池議員に、松山市の観光振興と小説「坊っちゃん」発表100年記念事業についてお答えいたします。
まず、松山市の今後の観光政策の展開についてでありますが、観光産業は地域経済に大きな波及効果を及ぼすことから、既に全国の観光地で誘客競争が激化しているところでありまして、松山市も多様化する観光ニーズに沿った事業の展開が一層必要となっております。その中で、従来は「いで湯と城と文学のまち」を標榜した観光振興策を前面に打ち出しておりましたが、今後はそれに加え、連携、回遊、体験をキーワードに、松山らしさ、道後らしさを実際に肌で感じていただけるような体験型メニューの充実や回遊ルートの整備など、広域観光の重要性を強調すべきであると考えております。御承知のように、今松山市は町全体をフィールドミュージアムとする坂の上の雲のまちづくりを進め、物語のある観光日本一を目指しておりまして、本年は「坊っちゃん」100年、引き続き仮称坂の上の雲記念館の開館、NHK21世紀スペシャル大河の放映、道後温泉本館の周辺整備などを控え、この数年間をまさに観光振興の正念場としてとらえているところであります。
次に、「坊っちゃん」100年記念事業をどのように展開し、発信していくのか。また、民間との連携について、一括してお答えいたします。記念事業を展開していく上で、民間との連携は重要であり、企業や市民団体、大学等におきましてもさまざまな取り組みが始まっておりますことから、今後とも情報交換や連携を進める中で、より効果的な事業展開に努めていきたいと考えております。そこでまず、観光面につきましては、漱石の「草枕」の舞台でもあります熊本市において、5月に松山の物産と観光展を開催する一方、天草エアラインで松山にお越しの皆さんに一定期間「坊っちゃん」の文庫本を配布するなど、この機に九州からの誘客を図っていくこととしておりますし、あわせて大阪行きの高速バスに公募によるシンボルマークをラッピングしてPRすることにより、近畿圏からの誘客にも取り組んでみたいと考えております。また、多くの企業にこのシンボルマークの活用を呼びかけており、既に数社からの協力の申し込みをいただいているところであります。さらに、道後温泉旅館協同組合と連携し、放生園でのイベントを予定しており、その中で学生による政策論文の優秀賞に選ばれた坊っちゃん同窓会も実施するほか、各旅館、ホテル等においては、坊っちゃんやマドンナの姿で観光客をお迎えすることといたしております。
次に、文化、教育面につきましては、「坊っちゃん」100年を記した坊っちゃん文学賞の募集のしおりを100万部作成いたしまして、全国主要都市の書店で配布することや全国規模となった俳句甲子園の場や松山映画祭等においても情報発信する中で、認知度のアップにつなげてまいりたいと考えております。また、子規記念博物館においては、子規と漱石を顕彰する坊っちゃんに関連した句会等を開催するとともに、市内の図書館や主な書店においても漱石コーナーを設け、小説「坊っちゃん」に親しんでいただき、文化に対する市民意識の高揚を図っていきたいと思います。加えて、坊っちゃんスタジアムにおけるベースボールフェスティバル・イン松山の開催など、今後さまざまなイベントを実施し、「坊っちゃん」100年を全国に向け広くPRし、心のこもったおもてなしで、また松山を訪れたいと思っていただけるような観光政策を展開したいと考えております。
以上で、答弁を終わります。
■答弁者 土居貴美教育長
菊池議員に、教育問題についてお答えいたします。
まず、子どもの安全対策のうち、PTAの携帯電話の保有状況と情報配信の希望についてでありますが、先月松山市小・中学校PTA連合会が児童・生徒の保護者を対象に実施した携帯電話に関するアンケート調査の結果では、回答のあった約2万2,500世帯のうち、97%に当たる2万1,800世帯が携帯電話を保有し、1世帯当たりの保有台数は2.28台となっております。また、携帯電話を保有している世帯の約86%、1万8,700世帯が情報配信を希望しております。次に、不審者情報の流れについてでありますが、不審者情報は松山市小・中学校PTA連合会が警察等から取得し、連合会事務局のパソコンや携帯電話から各学校のPTAや教職員を経由して、事前に登録している保護者等に配信される仕組みとなっており、保護者への意識啓発や地域での防犯の活動の向上につながるものと期待しております。なお、今回の松山市小・中学校PTA連合会への財政支援は、立ち上がりの3年間といたしておりまして、その後は連合会が自主的な事業として取り組むことになっております。次に、防犯ボランティア活動等への助成の目的及び内容についてでありますが、地域での自主的な子どもの見守り活動をより一層促進することを目的として本制度を立ち上げるものであります。また、支援内容につきましては、高齢者や大学生、企業の従業員等、地域における新規のボランティアグループや既存の子ども見守り隊等の活動に必要な防犯用品や保険加入に係る経費の一部を財政支援することでございます。次に、通学路防犯灯設置補助事業の概要についてでありますが、防犯灯設置につきましては、これまでも本市が定める設置の基準に適合する場合は、通学路も含めて防犯灯の新設や器具取りかえ及び管球取りかえに要する工事費を全額助成してきたところでございます。お尋ねの補助事業は、通学途上での子どもの安全が大きく脅かされてきた現状にかんがみ、通学路の暗がりをなくし、子どもが犯罪や事故に巻き込まれないよう、特段の取り組みを行おうとするものでございます。そこで、設置に当たりましては、子どもの声はもとより、学校や保護者並びに地域の方々に通学路の再点検をいただき、設置が必要と判断されたものについては、順次対応してまいりたいと考えております。
次に、人事権移譲についてでありますが、本年1月に公表された文部科学省の教育改革のための重点行動計画において、当面中核市を初めとする一定の自治体に教職員の人事権を移譲することや18年度には制度改正を行うというスケジュールが示され、また文部科学省主催の人事権の移譲に関する意見交換会の場においても、現政令指定都市と同じ形で中核市に移譲したい旨の説明がされる等、中核市への人事権の移譲への動きが本格化しております。そこで、移譲に対する見解についてでありますが、政令指定都市と同様の権限が移譲されますと、現在の研修権限以外に任免権などが移譲されることから、松山市の実情に応じた教職員や管理職の任用及び配置が可能となり、教職員の資質の向上や確かな学力の定着につながる教育の推進が可能になるなど、人事権移譲は21世紀の分権型社会にふさわしい教育改革の一つであると確信しております。次に、今後の取り組みについてでありますが、平成18年4月には、教育委員会事務局内に教職員担当準備室を新たに設置し、人事権移譲に係る準備に取り組むこととしております。この中では、既に人事権の移譲を受けている各政令指定都市の状況把握や先進中核市の取り組みを調査研究していくとともに、関係条例や規則、要綱等の整備や人事交流に係る対応等、県の御協力をいただきながら、人事権移譲に向けた国の動きに即応できるよう、万全の準備作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、小・中連携による国際・職業教育特区についてお答えします。まず、現在の準備状況につきましては、カリキュラム検討会を開催し、国際科、職業科、それぞれについての全体計画や年間計画などのカリキュラムづくり、教材の作成、講師の選定などの作業を関係小・中学校間で進めているところでございます。次に、具体的な学習内容や学習方法等につきましては、小学校の国際科は簡単な聞くこと、話すことを中心とした英会話や外国の文化についての学習を通じて国際感覚を養えるように、また中学校の職業科につきましては、生徒の希望をもとに設定した興味、関心を持つ職業について、専門家などの特別非常勤講師から基礎知識や技術を学ぶことを通して、働くことへの意欲や態度などを養えるよう、それぞれ年間35時間程度の授業を実施する予定にしております。次に、教育特区における成果についてでありますが、コミュニケーション能力や国際感覚、望ましい勤労観や職業観が養われ、児童・生徒が将来の生き方について考え、夢や希望を抱き、その実現のために努力する意欲や態度を育てることが期待でき、社会に貢献できる人材の育成につながるものと考えております。
以上で、答弁を終わります。
■答弁者 渡辺滋夫公営企業管理者
菊池議員に、水道事業におけるDBO導入についてお答えをいたします。
まず、膜ろ過施設等整備事業のバリュー・フォー・マネー42%の要因と評価についてであります。DBO導入により、民間事業者が持つ技術やノウハウに裏打ちされた創意工夫というものが私どもの想定を上回って発揮され、膜ろ過施設をコンパクト化することができたこと、このことに加え、膜ろ過という21世紀の主流になると言われている水処理技術の市場開拓といったことが民間事業者間の競争意識を刺激したこともあるのではないかと受けとめており、これらの結果が42%という大きなバリュー・フォー・マネーを生み出したものと考えております。本市水道事業にとってDBO導入は初めてのチャレンジでありますが、バリュー・フォー・マネーの結果につきましては、全国的なPFIの事例と比較いたしましても、十二分に満足のいくものであると思っております。
次に、浄水処理を民間事業者に任せる上での安全性の確保についてであります。民間事業者の選定につきましては、単に金額だけではなく、事業の安定的遂行能力を含めた総合評価であったこと、事業運営につきましては企業局と民間事業者とのリスク分担を明確にし、適切にリスク管理を行わせることとしていること、さらに企業局の要求水準を満たしているか、契約内容が遵守されているかを確認するために第三者によるモニタリングの実施を予定していることなど、安全性確保につきましては万全を期してまいります。もとより、浄水処理後の水道水の水質管理につきましては、従来どおり企業局みずからが実施いたしますので、根本的なところで水道水の安全性が揺らぐことは、いささかもないものと考えております。
次に、民間事業者の実施体制、企業局の監視体制及び業務履行の担保についてであります。事業の実施体制は、受注者の構成メンバーで組織される建設JVが施設建設を担い、構成メンバーのすべてが出資して設立した特別目的会社、いわゆるSPCが当該施設の維持管理を担うことになります。また、企業局といたしましては、通常の業務と同様に、建設工事の施工管理や維持管理業務の履行確認を行うことに加え、維持管理業務とSPCの財務状況については、第三者によるモニタリングといった監視体制を考えております。さらに、業務履行を担保するため、SPCの株主と根質権設定契約を交わし、発行するSPCの全株式を差し入れさせるなどの措置を講じてまいります。
次に、地域経済活性化への配慮についてでありますが、受注者から建設資材や水処理薬品の調達は地元企業を優先する。また、浄水場内の除草等には、地元のシルバー人材を活用するなどの提案が出されており、これらの提案の履行確認をしっかりとやっていく考えであります。
最後に、施設の耐震性の確保と環境への配慮についてでありますが、南海地震などの大規模地震に対しても、耐え得るだけのものを要求水準において求めており、受注者の提案もそれを十分満足する内容となっております。また、環境への配慮につきましては、膜ろ過施設の屋上に太陽光発電設備を設置するとともに、用水タンクも設置することとしており、いわゆる省資源型の施設としております。
以上で、答弁を終わります。
■答弁者 渡辺滋夫公営企業管理者
菊池議員に、水道事業におけるDBO導入についてお答えをいたします。
まず、膜ろ過施設等整備事業のバリュー・フォー・マネー42%の要因と評価についてであります。DBO導入により、民間事業者が持つ技術やノウハウに裏打ちされた創意工夫というものが私どもの想定を上回って発揮され、膜ろ過施設をコンパクト化することができたこと、このことに加え、膜ろ過という21世紀の主流になると言われている水処理技術の市場開拓といったことが民間事業者間の競争意識を刺激したこともあるのではないかと受けとめており、これらの結果が42%という大きなバリュー・フォー・マネーを生み出したものと考えております。本市水道事業にとってDBO導入は初めてのチャレンジでありますが、バリュー・フォー・マネーの結果につきましては、全国的なPFIの事例と比較いたしましても、十二分に満足のいくものであると思っております。
次に、浄水処理を民間事業者に任せる上での安全性の確保についてであります。民間事業者の選定につきましては、単に金額だけではなく、事業の安定的遂行能力を含めた総合評価であったこと、事業運営につきましては企業局と民間事業者とのリスク分担を明確にし、適切にリスク管理を行わせることとしていること、さらに企業局の要求水準を満たしているか、契約内容が遵守されているかを確認するために第三者によるモニタリングの実施を予定していることなど、安全性確保につきましては万全を期してまいります。もとより、浄水処理後の水道水の水質管理につきましては、従来どおり企業局みずからが実施いたしますので、根本的なところで水道水の安全性が揺らぐことは、いささかもないものと考えております。
次に、民間事業者の実施体制、企業局の監視体制及び業務履行の担保についてであります。事業の実施体制は、受注者の構成メンバーで組織される建設JVが施設建設を担い、構成メンバーのすべてが出資して設立した特別目的会社、いわゆるSPCが当該施設の維持管理を担うことになります。また、企業局といたしましては、通常の業務と同様に、建設工事の施工管理や維持管理業務の履行確認を行うことに加え、維持管理業務とSPCの財務状況については、第三者によるモニタリングといった監視体制を考えております。さらに、業務履行を担保するため、SPCの株主と根質権設定契約を交わし、発行するSPCの全株式を差し入れさせるなどの措置を講じてまいります。
次に、地域経済活性化への配慮についてでありますが、受注者から建設資材や水処理薬品の調達は地元企業を優先する。また、浄水場内の除草等には、地元のシルバー人材を活用するなどの提案が出されており、これらの提案の履行確認をしっかりとやっていく考えであります。
最後に、施設の耐震性の確保と環境への配慮についてでありますが、南海地震などの大規模地震に対しても、耐え得るだけのものを要求水準において求めており、受注者の提案もそれを十分満足する内容となっております。また、環境への配慮につきましては、膜ろ過施設の屋上に太陽光発電設備を設置するとともに、用水タンクも設置することとしており、いわゆる省資源型の施設としております。
以上で、答弁を終わります。